ブラジルの3連敗から半年。新生ムラッシュFCが出した最初の答え
2026年1月のブラジル大会。MURASH FCは3試合すべてに敗れ、グループリーグで姿を消した。選手たちが涙を流した敗北は、常設チームの再編と大規模なセレクションへつながっていく。
それから約半年。柿谷曜一朗を共同オーナー、太田宏介を監督に迎え、チームはイタリアへ渡った。今回の参加形式はクラブ世界一を争う本戦ではなく、キングスリーグ・イタリア所属クラブとのエキシビションマッチ。それでも、新しく作り直したチームにとっては、初めて世界を相手に成果を示す機会だった。
Zebras FCに9-2、GEAR 7 FCに7-0、Zeta Comoに8-1。予定されていた3試合をすべて制すると、前日に急きょ決まったUNDERDOGS FCとの第4戦にも6-2で勝利した。
4戦4勝、30得点5失点、得失点差+25。
公式タイトルを獲得した大会ではない。それでも、世界大会で敗戦を重ねてきたMURASH FCが、初めて継続して「世界の相手に勝つ姿」を見せた遠征となった。
第1戦|Zebras FC(9-2)
新生初陣で9得点。敗北の流れを止めた夜
デビル太田――7対4という異様な光景
この試合が持った意味
9得点という数字以上に大きかったのは、新体制で迎えた最初の世界戦を勝利で終えたことだった。ブラジル大会での敗北後、選手選考からチーム作りをやり直したMURASH FC。その取り組みが本当に世界でも通用するのか。初戦の9-2は、その問いに対する最初の答えとなった。
第2戦|GEAR 7 FC(7-0)
攻撃だけではない。7-0で示したチームの完成度
「ノイアーよりノイアー」――深谷圭佑が守った3分間
後半開始時のダイスで出た目は「1」。フィールドプレーヤーは1人ずつに減り、広大なスペースでGKとの1対1が次々に生まれる、極めて失点しやすい状況となった。
GEAR 7 FCは何度もMURASH FCの守備を突破したが、最後に立ちはだかったのが深谷圭佑だった。右手一本でシュートを防ぎ、次のピンチでは相手より先に飛び出してボールをかき出す。深谷が守り抜いたこの3分間は、最後まで無失点だった。
その活躍を見た解説の林陵平は、まず「ゼロで抑えたのがめちゃめちゃ大きい」と評価し、続けて「ノイアーよりノイアーでした」と絶賛した。
プレジデントPK失敗と“電波芸”
第1戦で成功させた加藤純一のプレジデントPKは、この試合では決まらなかった。試合後、林陵平からPK失敗を指摘されると、加藤は「あっ、都合のいいところで電波が……」と通信トラブルのふりをして追及を回避。7-0の完勝後に生まれた、MURASH FCらしい笑いの場面となった。
この試合が持った意味
第1戦では9得点を奪った。一方、第2戦では7得点に加えて無失点を記録した。プレジデントPKが決まらなくても、複数の選手が得点する。守備では深谷を中心に最後までゴールを許さない。勢いだけでなく、攻守の両面で試合を支配できることを証明した一戦だった。
第3戦|Zeta Como(8-1)
キングスリーグの理不尽さを味方につけた8-1
1分足らずで4点――ダブルゴールの破壊力
この試合を象徴したのが、前半終了間際のダブルゴールタイムだった。
17分、白石郁哉がエリア内でパスを受けると、フェイントで相手DFをかわしてゴール右隅へ流し込む。得点が2倍になる時間帯だったため、この一撃で2点が加算された。
その約30秒後には、相手のキックオフ直後のバックパスを中村駿介が奪取。すぐにゴール前へ走り込んだ木戸皓貴へ送り、木戸が左隅へ決めた。わずか1分足らずで、スコアには4点が追加された。
共同オーナーの柿谷曜一朗も、この2つのゴールについて強豪相手にも通用する内容だったと評価。特殊ルールに助けられただけではなく、高い位置でボールを奪い、素早くゴールへつなげるプレーの質も光った場面だった。
TBD 得点の詳しい内訳とダブルゴールの適用状況は、公式映像を確認のうえ追記します。
この試合が持った意味
1試合だけの大勝であれば、相手との相性や試合展開によるものとも考えられる。しかしMURASH FCは異なる3チームを相手に9得点、7得点、8得点を記録した。誰か1人の個人技だけに依存せず、前線のプレス、複数選手の連係、特殊ルールの使い方まで含めて得点を生み出した。3連勝によって、新生チームの強さが一時的な勢いではないことを示した。
第4戦|UNDERDOGS FC(6-2)
前日に決まった第4戦。イタリアNo.1クラブも撃破
当初予定されていたエキシビションは3試合だった。しかしZebras FC、GEAR 7 FC、Zeta Comoを相手に3連勝した後、キングスリーグ運営側から声がかかり、UNDERDOGS FCとの追加試合が急きょ決定した。
UNDERDOGS FCは、キングス・ワールドカップ・クラブズ2026の本戦にも出場したキングスリーグ・イタリアのクラブ。ABEMAは告知で「イタリアNo.1の強豪チーム」と紹介した。開催決定から試合までほとんど時間がないなか、MURASH FCは遠征最後の一戦へ臨んだ。
開始2分で2-0。GK児玉剛が試合を動かす
児玉剛の「GOAL & SAVE」
35分、MURASH FCがシークレットカードの「リバースPK」を使用した。リバースPKでは、カードを使った側が相手選手を指名してPKを蹴らせる。指名された選手が決めても得点にはならず、逆に外した場合はカードを使用した側、つまりMURASH FCに1点が加算される。
指名されたUNDERDOGS FCの選手が蹴ったPKを、児玉剛がセーブ。その結果MURASH FCに1点が入り、公式速報では「GOAL & SAVE」と表現された。児玉は試合開始直後に自らゴールを決め、後半にはセーブによって再びチームへ得点をもたらした。GKが攻守の両方でスコアを動かす、キングスリーグならではの活躍だった。
2人のGKが支えた勝利
児玉だけでなく、深谷圭佑も21分、23分、38分に相手のシュートを阻止。第2戦で「ノイアーよりノイアー」と評された深谷と、得点まで記録した児玉。タイプの異なる2人のGKが、同じ試合でそれぞれの強みを発揮した。最後は横山航河が自ら局面を打開し、マッチボールを決めて6-2。MURASH FCのイタリア遠征は、4戦全勝で幕を閉じた。
この試合が持った意味
第4戦は、事前に準備されていた相手との試合ではない。予定されていた3試合を終えた後、急きょ追加された一戦だった。相手は大会本戦にも出場したクラブ。それでもMURASH FCは開始直後から主導権を握り、6得点を奪って勝利した。3連勝の勢いだけではない。急な日程変更、異なる相手、試合中の特殊ルールにも対応して勝ち切る。新生MURASH FCの実力と選手層を、最も強く印象づけた遠征の最終戦となった。
4試合を終えて
「勝てるかもしれない」から、「勝てるチーム」へ
イタリア遠征でMURASH FCが獲得した公式タイトルはない。4試合はいずれもエキシビションマッチであり、クラブ世界一になったわけではない。それでも、4戦全勝という結果が持つ意味は小さくない。
ブラジル大会では3試合に敗れ、世界との距離を突きつけられた。そこから監督、選手、チームの仕組みを作り直し、半年後のイタリアで30得点を奪った。
中村駿介と木戸皓貴の連係。横山航河の走力と得点。白石郁哉の技術。複数の選手がゴールを奪い、深谷圭佑と児玉剛という2人のGKも、それぞれ異なる形でチームを救った。太田宏介監督は、勝っている状況でもサスペンションを使い、最後まで勝利を追求した。プレジデントPKが決まらない試合でも、選手たちは大量得点で勝ち切った。
4戦4勝、30得点5失点。
イタリア遠征は、MURASH FCが「世界一を目指しているチーム」から、実際に世界の相手へ勝利を重ねられるチームへ変わり始めたことを示す大会となった。次に求められるのは、エキシビションではなく、本戦の舞台でこの強さを証明することだ。
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大会概要
キングス・ワールドカップ・クラブズ2026 は、ジェラール・ピケが考案した“新時代”7人制サッカーのクラブ世界一決定戦。世界各国のキングスリーグを勝ち抜いたクラブが集い、クラブ単位で世界一を争う。
この大会は、過去4大会(メキシコ大会・イタリア大会・フランス大会・ブラジル大会)とは別枠の「クラブ版」大会である。 ムラッシュFCは本戦には参戦せず、キングスリーグ・イタリア所属クラブとのエキシビションマッチ4試合を戦った。
当初予定されていたZebras FC・GEAR 7 FC・Zeta Comoとの3試合の終了後、キングスリーグ運営側から声がかかり、UNDERDOGS FCとの第4戦が追加された。
新体制で臨んだ今大会の陣容は、プレジデントに加藤純一、共同オーナーに柿谷曜一朗、監督に太田宏介。ムラッシュFC戦はABEMAで全試合無料生中継された。
開催地
開催国:イタリア / 開催都市:ミラノ
会場:コローニョ・モンツェーゼ|キングスアリーナ(フォンジーズアリーナ)
開催期間
日本時間:2026年7月27日〜8月2日
現地時間:2026年7月26日〜8月1日
エキシビ対戦相手
Zebras FC(第1戦)
2026シーズンのキングスリーグ・イタリアでプレーオフ進出を争う実力チーム。オーナーはイタリアのストリーマー Luca Campolunghi(ルカ・カンポルンギ)。
Gear 7 FC(第2戦)
若手中心のメンバー構成で、攻撃的なプレースタイルが特徴。オーナーはイタリアのストリーマー Manuuxo(マヌーショ)。
Zeta Como(第3戦)
キングスリーグ・イタリアでも上位を争うクラブの一つ。元イタリア代表の Luca Toni(ルカ・トーニ)と、サッカー系コンテンツクリエイターの ZW Jackson(ズィーダブリュー・ジャクソン)が共同オーナーを務める。
UNDERDOGS FC(第4戦)
キングスリーグ・イタリア所属で、KWCC2026の本戦にも出場したクラブ(ROUND 1でLa Capital CFと対戦)。ABEMAは告知で「イタリアNo.1の強豪チーム」と紹介した。当初の3試合終了後、キングスリーグ運営側から声がかかり、第4戦の相手として追加された。